ニコライ•リョーリフ。 『世界の母』
1924年
117,1 х 88,6 cm
キャンバス上のテンペラ画
「世界の母」という絵画は、シッキム州にて制作された「東洋の大旗」シリーズの中心的な作品である。「世界の母」のイメージは国家も時代も問わず、世界の普遍的な考えに基づいていおり、最古の神、母なる女神、生と死を司る存在、そして神聖な知恵を持つ存在についての考えである。
この作品の構成は、マリア・テニシェワ王女の邸宅にあるタラシュキノ教会に飾られている絵画、「人生川に立つ天の女王」(1912年)に由来している。
またこの絵画で画家は、中央アジアの仏教の図像とキリスト教の図像の規範を組み合わせた。
その中で、「世界の母」という作品のアイデアは、あらゆる全ての宗教の上に立つそれらの原型であるということを示した。
この絵画は、隠された神秘的な知恵と高次元を象徴する「青」と「湖」が中心に描かれている。その湖から、「世界の母の基盤」の上に腰を下ろす「母」の姿が浮かび上がっている。
最も崇高とされる世界の母の顔を、最も崇高なベールが覆っている。
「『世界の母』のイメージは東西全域に生きており、非常に重要なその想いは、この高尚な姿に全て捧げられています。大抵の場合、偉大なお顔は隠されていますが、完璧を象徴する「四角」の柄で輝いているこのベールの下に、万物の母の唯一無二のお顔が想像出来ませんでしょうか。」
と、ニコライ・リョーリフは書き残した。
「世界の母」の背後や頭上のハローは銀色に輝き、その偉大な姿の両側では三人の魔法使い(オリオン座)や七人の老翁(北斗七星)が星空から地球へと光を送っている。
「その星座の真ん中で…」
ニコライ・リョーリフは続けた。
「世界の母の明るい居場所、朝星が、地球へと絶え間なく急ぐように、近づき続けています。そして圧倒的な光で、その驚くべき前例のないアプローチで、人類の新しく偉大な時代を示しています。」
「世界の母」の時代の到来は、人類が更に高い意識の段階に至るべきだという、新しい宇宙進化の螺旋の蜷局の出現を意味している。
ニコライ・リョーリフは次のようにも書き残した。:
「『世界の母』の来るべき時代については、色々な教えが発言されてます。『世界の母』は全ての人の心に寄り添っており、それぞれが生まれもった心で彼女を敬い、彼女が大舵を取ります。誰もが、その偉大な進化のお姿が分かるようになれば、幸せやご加護を手に入れられるはずです。」
1924年、ニコライ・リョーリフはこの絵画以外にも他の「世界の母」の作品を描いた。その作品では、「世界の母」の前に立つ二人の姿を描いている。
一人は手に本を持ち、もう一人は宝箱を持っている。
本は「生きる倫理」を示し、宝箱はオリオン星座からの「世界の宝物」という名の聖石を示している。
ロシア語からの翻訳者:
オレクサンドル・チスチャコフ
翻訳補助:
加藤 はる花