ニコライ•リョーリフ。 『アルジュナ』
1928–1929年々
74,7 х 118,1 cm
キャンバス上のテンペラ画
「クルー」シリーズには、クルー渓谷の聖地、山、小道、峠を描いた風景など、ニコライ•リョーリフによる様々な大きさの作品、17点によって構成されている。「グル・グリ・ダール」、「クリシュナ(クルーの春)」などの絵画である。
アルジュナ(サンスクリット語で「白、明るい」)は雷神インドラの息子であり、インドの叙事詩「マハーバーラタ」の主人公のうちの一人である。
この叙事詩の内容は、神々の息子である5人のパンダヴァ兄弟と、100人のカウラヴァ族の間で起こった大きな戦いである。
アルジュナは5人のパンダヴァ兄弟の中間子であった。その戦いで彼の従兄であるカウラヴァ(インドラの敵である蛇ヴリトラの地球上の化身)を倒すために、アルジュナはヒマラヤを訪れ、そこで神々から素晴らしい武器を受け取り、その武器を行使することを学んだ。
ニコライ•リョーリフはこの絵画の中で、雷の武器を持ち、雷で岩を貫く英雄の姿を描いている。黄昏れの濃紫の山々と青白く眩い衝撃的な雷のコントラストは、絵画全体の濃い青紫色の色彩と共に不思議な感覚を生み出し、絵画からオゾンの風が吹いているかのように感じられる。
『アジアの心』という本の中で、ニコライ•リョーリフは、アルジュナがクルー渓谷に滞在した頃の伝説について次のように述べた。:
「これらの場所は最も偉大な名前に関連付けられている。アルジュナ自身が、クルーからマニカルンへの地下通路を作ったと言われている。…」
ニコライ•リョーリフは、アルジュナの稲妻の矢を、神話上の英雄の伝説的な武器以上の物と見なしていた。その武器は暗闇の無知を貫き、心を最高に導く偉大な精神力である。
ロシア語からの翻訳者:
オレクサンドル・チスチャコフ
翻訳補助:
加藤 はる花