ニコライ•リョーリフ。 『世界の母の星』  「彼の国」シリーズより

の作品はそのホールの作品です

リョーリフ博物館:大師のホール

 

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『世界の母の星』  「彼の国」シリーズより。

1924年

89,0 х 117,0 cm

キャンバス上のテンペラ画

 

。。。果てなく続く砂漠を、透き通った薄暗い緑の夜明けの霞で凍てついているかの様な砂の波を、キャラバンが一歩ずつ足を進める。冷たい月明りで、まだ小道や砂丘の斜面に影を落としているが、空はすでに暁に染まり、朝星の青白い炎が輝いている・・・。

 

ニコライ・リョーリフの「世界の母の星」。

どんな過去から、どんな目的地へと歩んで行こうか? 

 

砂漠を通る長い旅は険しく危険である。午後は猛暑となり、喉が渇く。朝の寒さが心に沁みる。距離が目を欺き、美しく眩い蜃気楼へと誘う。風によって、かろうじて見える道に砂が降りしきる。一つ間違えば、キャラバン全体を混乱させる。

 

しかしどこか宇宙の奥から、「彼の国」の方向から、呼び声が聞こえる。

 

「現在の我が家は、我々が新時代を創造するために集まった砂漠にあります。」

 

「四人の番人、大天使の玉杯を守り給え。貴方方にお見せした箱舟が新しいワインで満たされました。我の道へ、貴方方を導かせるよう、我の『時の唇』に命令しました。」

 

1924年、公領であるシッキム山岳のヒマラヤにおいて、ニコライ・リョーリフによって作成された「世界の母の星」という絵画は、「彼の国」シリーズの他のすべての絵画とは異なっている。

シリーズ中の他の絵画では、雪に覆われたカンチェンジュンガの雄大な山々がそれらの作品を支配しているが、この作品では、太陽に焼けた砂漠と空の孤独な星が描かれている。

 

これは、偉大な禁欲主義者らが祈りや孤独、集中のために利用した『大沈黙の砂漠』なのだろうか?或いは、すべての気高き存在の源を忘却の砂で覆ってしまい、現在の人類の悲劇の根源となった『死の砂漠』なのか?

 

それとも、画家の先見の明で、中央アジア遠征キャラバンの将来の行く末を見たのだろうか?

シッキムから始まり、キャラバンは中国のトルキスタンの砂漠、タクラマカンとゴビの古代の砂漠、そしてチベットの砂漠の高地を通った...。彼らは導く星の光に誘われ、孤独や誤解、そしてあらゆる困難と危険を、不変の揺るがぬ覚悟だけで乗り越えたキャラバンであった。

 

リュドミラ・シャポシュニコワの発言:

 

「探検隊のキャラバンは、地球に存在する最も重要なプロセスであり、そのプロセスはニコライ•リョーリフによって『エネルギーの世界観』と呼ばれました。つまり新しい進化の世界観の形成に直接関係しています。20世紀のエネルギープロセスは、地球と人類を新しい進化の螺旋の蜷局に導き、この蜷局に関連する全ての変化の必然性を決定づけます。」

 

東洋の予言では、地球上の人類の宇宙的進化が新しい段階に近づいていることを、「世界の母の時代」と呼んでいる。そしてこの偉大な女性の姿は人々の心の中で、明るさや洗練さ、美しさや知識、そのような愛に溢れている人々が受け取るべき未来の象徴であり、未来の人生の基盤となっている。

 

ニコライ•リョーリフはこのことについて、言葉を残している。:

 

「『世界の母』。非常に感動的で勢いのあることは、すべての時代や民族の中に存在するその全ての神聖な概念に融合されました。宇宙の波のようなこの偉大な概念は今、人間の意識に近づいて来ています。『世界の母』の来るべき時代について、様々な教えが発言されています。すべての人の心に寄り添い、すべての人がその心で『世界の母』を敬っています。彼女は再び大舵を取っています。その偉大な進化のお顔が分かれば、誰もが幸せやご加護を手にするはずです。」

 

1924年の「世界の母の星」のエッセイの中で、ニコライ•リョーリフは、

 

「『世界の母』の明るい居場所、朝星が、地球へと絶え間なく急ぐように、近づき続けています。そして圧倒的な光で、その驚くべき前例のないアプローチで、人類の新しく偉大な時代を示しています。」

 

と、言葉を残した。

 

同年にエレーナ・リョーリフも以下の様な記録を残している。

 

「"ウルスヴァティ"!この星が手に負えないほど地球に近づいて来ている今、我々はこの星の呼び方を人々に伝えるべき時です。昔から『世界の母』を象徴するこの星が、かつてないほど地球に接近する時こそ、『世界の母』の時代が始まるはずです。」

 

この記録が「悟り」という生きる倫理の一つの本に記載された。

 

エレーナの書いた多くの手紙に、地球に近づいている新しい惑星、『世界の母の星』についての言及が散見される。

 

1936年:

「24年目に『世界の母』の惑星の光が地球に到達し、このことによって人々の心の中に新しい意識を目覚めさせました。新しい人生のために、多くの女性の囲炉裏に火を灯しました。」

 

1947年:

「この星は昔から『世界の母』と繋がっており、もちろん、来るべき『世界の母』の時代には彼女の星が支配します。そのことについては、1924年4月に初めて言及され、その次は1929年に、『無限』という本の前編で見つけることが出来ます。その星の光線は、進化の加速を意味し、その振動へ加速をもたらし、私達の地球上の生活を大きく変えようとしています。この星の正確な名前は『ウルスヴァティ』です。私は本の中でそれを明らかにしたくなかったことと、当時は金星も前代未聞なまでに地球に接近していた年だったので、興味のある人にさえも、その星は金星であると伝えました。新しい星はまだ見えていなかったのですが。」

 

「この惑星は人類の恵みになるでしょう。そして地球に新時代が訪れるはずです。」

 

とエレーナは別の手紙の中でも述べていた。

 

「ですから、『世界の母』の惑星は、この時代に偉大なスピリチュアル・ルネッサンスの前兆として現れます。 」

 

。。。深い黄昏れに、砂漠の沈黙を通りキャラバンが進んで行く。

そして地球上で始まった道が無限へと、『世界の母』の青白い星の炎が誘導した先へとへ向かい、新しい日の、新世界の必然性を予感させる。彼の言霊が導くところへと。:

 

「焚き火の明りの中で歩む。星の光の中で歩む。精神の沈黙の中で、太陽の黄金が心を燃やした頃、嘘をも消し去り、そして届くはず。」

 
 

 

 

ロシア語からの翻訳者:

オレクサンドル・チスチャコフ

翻訳補助:

加藤 はる花

2021-22

 

 

 

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