ニコライ•リョーリフ。『最後のアトラース(アトランティス人)(アトランティスの崩壊)』

の作品はそのホールの作品です。

リョーリフ博物館:生きる倫理のホール

 

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『最後のアトラース(アトランティス人)(アトランティスの崩壊) 』

 

1928-1929年々

89,5 х 147,6 cm

キャンバス上のテンペラ画


 


ニコライ・リョーリフの『最後のアトラース(アトランティス人)(アトランティスの崩壊)』という絵画は、偉大な力と美しさを表現した作品であり、インドや中国、アルタイやモンゴル、チベット等へと渡った中央アジア遠征(1924-1928)の終了後、シッキムにて制作された。


道標の暗示や色々なシンボルで溢れかえった遠征ルートは、リョーリフが伝説や古代の書物を含むユニークな科学資料を収集することを可能にした。これらすべてがニコライ・リョーリフの文学作品や絵画に反映され、そこでは科学的および哲学的思考や洞察、そして最高の芸術が融合した。


「中央アジア遠征以外に、これほど一流の絵画を残した遠征は他にありませんでした。」


と、リュドミラ・シャポシュニコワは記した。


「それは間違いなくその独自性です。しかし、絵画自体もユニークでした。それらの絵画は偉大な芸術家だけではない、同様に偉大な科学者でもある人物によって創造されました。だからこそニコライ・リョーリフの絵画では、科学は芸術の高さにまで高められ、逆に芸術は科学的な説得力を持つようになりました。」


研究者としてリョーリフは、人や地球や宇宙の相互的影響を考慮し、人類の進化の問題を文化史的観点から考察した。

「世界中の人類の文化の起源は一つであり、アジアとアメリカはかつて一つの大陸であった。」「現代の人類が引き継いでいる文明には、古代アトランティスの文明の成果があるはずだ。」などというリョーリフの確信は、20世紀の終わりから21世紀初頭までの間の植物学、生物学、人類学、地理学、海洋学、言語学、そして他の科学の分野の科学者の研究によって裏付けられている。

 

ニコライ・リョーリフが重要視したアトランティス学は、『プラーナ』、『ゾハール』、『ポポルヴク』などの古代の古文書からの情報に基づいており、そこでは過去の大災害について、その後の地球上の生命の再復活について記述されている。

 

※『プラーナ』:古代インドの聖典

※『ゾハール』:ユダヤ人のカバラ(קַבָּלָה qabbalah, Kabbala, Cabbala)の聖典

※『ポポルヴク』:アメリカの先住民インディアンのアステカの聖典

 


「溺れた都市」という記事の中でニコライ・リョーリフは、ヨーロッパ郊外にある古代都市の沈没した遺跡の存在についてや、ロシアとアジアの「水中キーテジ」の伝説について、そしてアトランティスについて等を書き残し、また、今日神話が現実のものとなっているということを発言した。

 

※キーテジ:ロシア正教古儀式派の伝説上の聖地。ニジェゴロド州の北部にあるとされた。


「…最新の発見は、古代の知恵に真の根拠を与えるものです。」

そう指摘している。


リョーリフは遠征ルートで収集した情報と科学データを比較しプラトンにも確認し、アトランティスとその最後の島であるポセイドニスは海に飲まれて死んだという伝説を歴史的事実と認めた。


中央アジア遠征より以前の1912年、ニコライ•リョーリフは「アトランティスの神話」というエッセイの中でこの最も美しく力強い国の悲劇的な運命を描いた。

その後アトランティスの歴史は、ニコライ•リョーリフにとって神話から現実の科学資料へと変化し、象徴的で一般的な意味を持つようになった。

それらの歴史は私達の惑星で起こっている周期的な変化を理解するために多くのことを我々に与える。それらの変化とは、陸地が水で満たされたり、海底が浮上したり、様々な人種が各地で置き換わっていく等の変化についてである。


ニコライ・リョーリフはアジアの山々や砂漠を越えながら、ゴビ砂漠とチベットの間に位置するツァイダムの塩性湿地や、遠い昔に消えたはずの世界のイメージを蜃気楼の中に捉え、感じ、見ることができた。


遠征メモの中で、ニコライ・リョーリフは次のように残した。:


「ほら、まるで宮殿や壁がそびえ立っているかのようです。赤い砂の上に都市が現れているかのようです。神聖で巨大な雄牛が赤い光の中に煌めいていませんか?遠くの窓が輝いているようです。旅人を呼んでいるのではないでしょうか。」


 

この作品の題材は、アトランティスのポセイドニスという最後の土地の破壊の物語である。この絵画は、島とそこにかつて存在したチベットらしい建築を思い出させ、我々は古代都市を飲み込み破壊する元素の力の壮大さに驚かされる。


夜。青緑の波を描く月の死のような水銀色の光り。

それらの波はもうすでに聖域で泡立ち、地球に浄化をもたらしている。この記念碑のような建物上部の広場には、消えゆくアトランティスの人種の最後を見守る目撃者のシルエットがある。おそらく彼らは最後のアトランティス人であり、何時も人類の進化を傍で見守る人類の大教師だろう。

荒々しい鬣のような波の輪郭が沈んでゆく街を囲み、山々の光と影の戯れは地球が揺らいでいるかのような印象を与える。


「地球はその偉大な断末魔の中で震えている。」

しかし、ニコライ・リョーリフの絵には動物的な恐怖は感じられず、この偉大な行為を妨げるものは何もない。


絵画の細部の量は厳しく制限されていた。

どこにも通じない階段がある中央の建物は、おそらく寺院の研究室であり、ここでは聖職者でもある科学者らが惑星や星の位置を使って計算し、特定の日と時間に適切な地点までの階段を登る。


ニコライ・リョーリフの絵画上の宇宙進化論のシンボルを通して、別の意義も明らかになる。

雲の輪郭として空に鮮明に浮かぶガルダという鳥は、過ぎ去った世界の上に翼を広げ、大きなサイクルの象徴となっている。そして、神聖な雄牛(Apis Pacis)の暗い影は宇宙の神定法に従い遠ざかってゆく。

 

『最後のアトラース(アトランティス人)(アトランティスの崩壊)』、この絵画のアイデアは『古えの蛇』(1924年)の作品の意図と関連している。『最後のアトラース』の中で画家は一つの進化サイクルが完了する集合的なイメージを作り上げ、『古えの蛇』には地球の発展における新しい段階が出現するイメージを描いた。

 

 

 

 

ロシア語からの翻訳者:

オレクサンドル・チスチャコフ

翻訳補助:

加藤 はる花

2021-22

 

 

 

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