スヴャトスラフ・リョーリフ 『 アスガリ・M・カディール夫人の肖像画』
この作品はそのホールの作品です。
1940年
80,5 х 46,5cm
キャンバス上の油彩
アスガリ・M・カディール夫人はリョーリフ族のクルー渓谷での隣人であり、友好関係を維持し、連絡を取り合っていた高貴なイスラム教徒の家族の代表です。
スヴャトスラフ・リョーリフによるアスガリ・M・カディール夫人の肖像画は少なくとも七点知られており、そのどれもが新しい色合いを持ち、描かれたモデルの内面世界の新しい側面を見せてくれる。
「スヴャトスラフの筆が捉えた人物は、その本質を不滅のものとします。彼はそれにふさわしい人たちの肖像画を描いたのです。英雄や賢者、親族や友人、美と魅力に恵まれた男女、その瞳には魂が映し出されています。これらの肖像画は、描かれた人物の内面やオーラを明らかにするために特定の背景に描かれ、その人物像を深く刻み込むことで崇拝の念を呼び起こすのです。スヴャトスラフが描く肖像画は、その表現力でよく知られています。」
この肖像画では、暗い背景にアスガリ・M・カディール夫人の横顔が描かれている。
スヴャトスラフ・リョーリフの筆は、女性の肩を覆う薄く半透明の白いマントの軽さを通してほとんど無重力を表現している。漆黒のウェーブの髪に縁取られた夫人の顔は、内なる光に照らされている。表情豊かな上目遣いの瞳に光が射し込む。
1940年から1941年にかけてインドの各都市でスヴャトスラフ・リョーリフの作品展が開催され、マスコミからも好評を博していた。
アスガリ・M・カディール夫人の肖像画も一点展示された。
インドの評論家サラジュディンは、スヴャトスラフ・リョーリフの作品について次のように記している。
「彼の肖像画は力強い安定感とバランス感覚を備えています。
彼によって描かれた頭部や手は完璧で、顔は優雅で繊細に描かれています。そして同時に、生命力を失わない十分な力をもっています。カディール夫人の肖像画を見れば、彼女のスヴャトスラフの画力に応える能力が並外れて高いことがわかるでしょう。ぼろきれに身を包んだチベットの乞食も、上流社会の女性も、その豪華絢爛な服装も、宝飾品も、その質感は非常に緻密な筆致を要求されるものですが、彼は自信に満ちており、それらを違和感なく描くことができます。また、スヴャトスラフは解剖学にも精通しているため、モデル間の人種的な違いにも怯むことはありません。環境と遺伝による必然的な差異を把握する豊かな想像力を持ち、その本質的な差異を絵具の層に僅かに擦り込みながら表現しています。」
ロシア語からの翻訳者:
オレクサンドル・チスチャコフ
翻訳補助:
加藤 はる花