ニコライ•リョーリフ。『先導者 モーセ』

の作品はそのホールの作品です。

リョーリフ博物館:生きる倫理のホール

 
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『先導者 モーセ』

「東洋の大旗」シリーズ

1925年

73,5 x 119,5 cm

キャンバス上のテンペラ画

 

 

絵画『先導者 モーセ』は、カシミールにてニコライ・リョーリフによって制作された。

紀元前13世紀に誕生した「モーセ」はヘブライ語で「水から救われた」を意味する。

モーセは、エジプトで奴隷とされていたイスラエル人をエジプトから連れ出したという聖書の中の預言者である。聖書によると、モーセはエジプトでユダヤ人の家庭に生まれ、ファラオの娘の養子となり、宮廷で育てられた。

ある日、モーセは仲間の部族のためにエジプト人と争った後、彼は砂漠に逃げ込むことを余儀なくされた。そこでモーセの目の前にあった燃える茂みに神が現れ、神はユダヤ人をエジプトからパレスチナへ導くという彼の使命を明かした。

 

イスラエルの人々は40年間、約束の地を求めて荒野を彷徨っていた。そしてシナイ山のモーセを通して、今日にも人類に必要とされ続けている神の法律である「十戒」を与えられた。その十戒に加え、この法律には多くの、ユダヤ人の生活の基盤となる規則や禁止事項等が含まれていた。

しかし、人々はこれらの戒めをすぐには受け入れなかった。彼らが常に先導者モーセに従うということはなかったため、モーセは神の助けを借りながらそのような頑固な者らを治めていた。

そしてユダヤ人をパレスチナに導いた後、モーセはヨルダンの東岸沖のモアブにて120歳でこの世を去った。

 

エレーナ・リョーリフは偉大な先導者の名前に何度も言及し、その名を彼女自身の教師としての名と関連付けていた。絵画『先導者 モーセ』についてエレーナ・リョーリフは、以下のように記した。:

 

「さらに、モーセがマハトマ・モリアの輪廻転生に含まれるべきであるということも伝えたいと思います。そうすることで、この絵画がなぜこんなにも雄大で美しいのかが明らかになるはずです。」

 

モーセの精神の偉業について彼女はこの様に記した。:

 

「モーセは昔から存在していた一神教の理念の創造者ではありませんが、実に偉大な先導者でありイスラエル人民の創造者です。したがって、『ユダヤ人が一神教の理念を世界にもたらした』という説は完全に正確なものではありません。エジプトの司祭の弟子であったモーセは、彼らの秘密の知識である『宇宙の一体性』や『多様性の中の統一』を伝授されていました。彼によってたった一つのヒエラルキーについてのアイデアは庶民の中で認められ、『エホバ』と呼ばれる神の一面の信仰を大衆の中で強化していきました。

 

モーセは完全な意味での指導者であり、法の番人です。

彼は、長期に及ぶ奴隷生活の中で多くの否定的な考え方を身に付けた遊牧民の部族から国民国家を作り、その中に秩序や建築物、国家の基礎を築くという困難な任務を担っていました。

彼によって確立された法律は、根拠がないにも関わらず残酷であり執念深いと示唆されていましたが、実際にその法律を偏見なしに見てみると、モーセの知恵と憐れみには驚かされます。また、多くの点で今日存在する法律と比べると、モーセの法律はそれよりも公平であり、慈悲深いものです。だからこそ、この恐怖や残酷さ、そして破壊的な利己主義や最も恐ろしい犯罪、そして腐敗に満ちた時代に、我々ごときがモーセの法律の残酷さについて話すことは実にみっともないことです。」

 

ニコライ・リョーリフは、この絵画の中でモーセの姿を正中線の右端に近い位置に配置した。このような構成は、巨匠によって設定された芸術的条件を満たしている。

この様に人間の姿は、天と地という2つの平等な世界を繋ぐための姿でなければならない。

 

山脈の一つの山頂に跪くモーセ。

両手を前方に広げた彼の姿は、力強い和音で響く空を背景に描かれている。地上の紺や紫の色合いや淡い緑の煌めくコントラストは、夜空の自然現象に注目を集める。

鑑賞者はまるでモーセと天の世界との対話に立ち会ってるいるかのようだ。

作品全体に明確なダイナミズムが宿っており、それは螺旋状の天の輝きや風になびくモーセの髪、そして彼の広げた腕によって更に強調されている。

 

 

ロシア語からの翻訳者:

オレクサンドル・チスチャコフ

翻訳補助:

加藤 はる花

2021-22

 

 

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