スヴャトスラフ•リョーリフ。 『ラマ・トンダップ』
1930年代<br>
64,7 х 57,0 cm
キャンバス上のテンペラ画
1920年代半ばから1930年代初頭、スヴャトスラフ•リョーリフによってラマの肖像画ギャラリーが作られた。これらの作品には高い民族誌的正確さや、深い心理的なリアリズム、チベット仏教の複雑な象徴性を兼ね備えている。これらの作品の中の一枚に「ラマ・トンダップ」という肖像画がある。
"ラマ(チベット語で「最高」)の意味は、訓練と入会の儀式を受けた、ロシア仏教を含むチベット・モンゴル語の教師の総称である。“
1930年代のラマ・トンダップは、ヒマラヤ研究所「ウルスヴァティ」と協力し、ラフルを含む様々なヒマラヤの高山や渓谷への考古学的および民族誌的遠征に参加した。
インドの仏教徒、ツェリング•ドルジェはこの肖像画を見て、次のように述べた。:
「…ラクルで、ユリーやニコライ•リョーリフが実施した様々な発掘調査を手伝ったラマの肖像画を見ることができます。これは私の叔父でした。」
肖像画では青緑色を背景に、紫色のマントと茶色みがかった服を着たラマの姿が描かれている。彼の頭には、背の高い金色の帽子が飾られている。そしてラマの両手には儀式用の道具が握らており、右手には「ダマル」という宇宙の始まりの音を象徴するドラム、そして左手には鐘を握っている。
このように様々な絵画のシンボルの集まりは、ラマの心理的特徴を表している。
この作品のラマは、前方を見つめる賢人である。
これは聖職者の肖像画であり、この作品を完成する為にスヴャトスラフ•リョーリフは、西洋の心理的な絵画の手段と、東洋美術特有の手段の両方を使用した。
ロシア語からの翻訳者:
オレクサンドル・チスチャコフ
翻訳補助:
加藤 はる花