ニコライ•リョーリフ。『役行者、旅人の友 』

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『役行者、旅人の友 』
「東洋の大旗」シリーズ

1925年

74,0 x 118,0 cm

キャンバス上のテンペラ画


 

絵画『役行者、旅人の友』は、カシミールにてニコライ・リョーリフによって制作された。

役行者(VII-VIII世紀)ー 山伏兄弟の修道会の創設者、精神的に卓越した偉人。

 

この山伏兄弟の修道会は、その精神的な偉業で称賛され、そしてその修道会の創設者は、間違いなく日本の人々の自己意識の創造者でもあると認める事が出来る。


伝説にある通り、彼は修行の始まる前に、厩戸皇子(574–622)として、諡(おくりな)は「聖徳太子」と呼ばれていた。彼は偉大な改革者、および政治家として知られ、自国の地位を強化し、強力な中国や新羅国との対等性を確立した。現在の「日本」と言う国名も、それまでは「大和」と呼ばれていたが、厩戸王が中国へ宛てた手紙の中で「日出ずる国」という名を使用したことがきっかけであったとされている。


18歳の時、厩戸皇子(聖徳太子)は仏陀の教えに基づいて日本の改革を始めた。新羅国と中国からの仏教教師が日本に招かれ、聖経典が日本語へ翻訳され、その後仏教寺院と僧院が築き上げられた。厩戸皇子は仏教の経典の一部に自身の解釈を持ち、その上でかの有名な「十七条憲法」を制定した。

その後、日本社会において仏教、儒教、道教の倫理の土台が基盤とされ、それは精神的にも、文化的にも日本の生活の礎となった。


厩戸皇子は新しい宗教と神道の古代伝統的に優れた部分を叡智的に組み合わせ、「仏教が神道の木の枝であり、儒教が神道の葉である。」という言葉を残している。彼は、宗教や政治に関わるだけでなく伝説にもある通り、彼は今や日本を代表する文化の一つである「生花」の基礎を築き上げ、優れた音楽家にもなり、忍術の武道の発展にも貢献した。

607年から厩戸皇子は仏教の教えに集中し、政治家は彼の言葉に耳を傾け続けた。伝説によると、その後622年、厩戸皇子の前に達磨大師が現れ、その直後、享年48歳でこの世を去った。(推古天皇30年2月22日・グレゴリオ暦 622年4月8日)

 

だが伝説に残っている通り、実は聖徳太子の葬儀は偽りのものであった。しかしこの葬儀を利用して仏教の教えに繋がっている「思いやり」や「相互援助の精神」、「正義の倫理」などの教えを貴族間だけで無く、平民の間へも拡大した。実際には彼の人生は続いており、「役行者」と呼ばれる禁欲主義者としての余生を過ごした。


役行者から山伏兄弟へと特別な能力が与えられた。彼によって創造された山伏修道会では、弱者を守るための特別な精神戦士の修行として、武道が発展した。彼らは武道の達人となった。

伝説によると、役行者は仙人として、飛んだり、水の上を歩いたり、火に変身したりすることが可能であったとされている。彼の対談者は仏陀と菩薩だった。

 

世界中の文化的および精神的な指導者らの人生に、特別注目したニコライ•リョーリフが役行者に絵画を捧げたことは偶然ではない。

 

リョーリフは人生の前半に、次のような詩を残した。:


石を知れ 意志を守れ

火を隠せ

赤は勇気へ 青は平和へ

緑は叡智へ

一を知れ 石を守れ

フ ロ ホ 石を運べ

強者へ褒美を 信者へ褒美を

役行者

真っ直ぐ進め


 

その詩によってニコライ・リョーリフは、その仙人が「石の保存者」だと認知した。伝説通りにオリオン銀河からこぼれ落ちた流星体の欠片が、昔から人類の精神を高め、それが新しいレベルへと導いていた。そして役行者も、この石の落下によってそれを手にする事が出来た。

役行者は絵画の構図の中で、中央付近に配置された。彼の姿は色彩豊かにそびえ立つ山々の、薄緑色の絨毯のような丘陵地帯の上に描かれた。

 

それは色彩豊かなアクセントが効いた作品である。画家は、作品の上部の冷たい色調から下部の暖かい色調へと素晴らしい変化を作り出した。その作品の宇宙の全てに降り注いだ平和の流れは、この絵画の色彩の変化のようである。真っ白な山々の輝きが、薄紫の空と優しい青い影で強調され、丘陵地帯はエメラルドグリーンで覆われている。黄土色の斑点は、役行者の内なる光を強調するように、敢えて彼の周りに集中しているようだ。そして前景にある深紅色の岩が全体の配色のバランスをとっている。

 

そしてこの作品は、色の配色以外でも様々なことを伝えている。

風は役行者に寄り添い丈長な服の裾を靡かせ、その全体的なダイナミズムとは裏腹に、偉人は瞑想している状態で描かれた。杖とカップを手にし、その表情は穏やかだ。

この絵画の名、『役行者、旅人の友』は、この絵の中の精神戦士は精神の道を選んだ旅人全員の親友である、という意味を持つ。

 

 

 

ロシア語からの翻訳者:

オレクサンドル・チスチャコフ

翻訳補助:

加藤 はる花

2021-22

 

 

 

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