ニコライ•リョーリフ。『チンターマニ』

 

の作品はそのホールの作品です。

リョーリフ博物館:生きる倫理のホール

 

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『チンターマニ』

1935–1936年々

91,8 х 116,9 cm

キャンバス上のテンペラ画

 

 

 

ニコライ・リョーリフの芸術では、最高の知恵の現化としての不思議な石のアイデアが特別な位置を占めており、さまざまな文化によって知られている。仏教では「チンターマニ」、「思考の宝石」と呼ばれ、悟りを開いた思考によってのみ入手可能な精神の宝の象徴である。

 

仏教の図像では、チンターマニは仏教法の守護王であり、チャクラワルチン(サンスクリットで「正義の支配の車輪を回す」)王の7つのシンボルに含まれている。一方タンカの聖画像では、その石は白馬、または淡い灰色の馬の背中に描かれている。このようなチンターマニの姿は、有名な「シャンバラのタンカ」の中にも描かれており、リョーリフ族が中央アジア遠征(1924~28年)のルートを辿った際に持ち運ばれていた。騎乗者のいない宝のみを背負った白馬は、中央アジアの人々の神話の中で最も広く知られていたアイデアの1つである。

 

チンターマニを背負った白馬は旅人を助けようと急いでおり、この白馬はヒマラヤ山脈の危険な峠の上をはためく何百、何千ものチベットの祈りの旗に描かれている。

 

「深淵の端、山の小川の近くに、夕方の霧の中に馬の輪郭が描かれています。」

 

と、ニコライ・リョーリフは記している。

 

「騎乗者は見当たらないのですが。鞍の上で何か不思議に煌めいています。失われたキャラバンの馬でしょうか?それとも、騎乗者を振り払い深淵を飛び越えた馬でしょうか?或いは、疲弊して旅の途中で捨てられた馬が回復し、飼い主を探しているのでしょうか?知性はこう考えますが、心は別のことを記憶しています。決まった時間に、神聖な山の高みであるシャンバラから孤独な馬が降臨し、騎乗者の代わりに鞍の上では『世界の宝』、『奇跡の石』、『ノルブ•リンポチェ/チンターマニ』、『世界の救世主』などがキラキラと輝いています。その時は来るのでしょうか?この単独の馬は私達に『世界の宝』を運んで来るのでしょうか?」

 

ニコライ・リョーリフの絵画の中では、黄金の炎に包まれた「三つの丸」のシンボルを背負った白馬が、夜明けの日差しに眩く輝いた岩石から降りて来る。ニコライ・リョーリフが「平和の旗」のために選んだこのシンボルは、最も古い人類のシンボルのうちの一つであり、新石器時代から知られている。このシンボルは多種多様な文化の中にあり、そして様々な哲学体系の中にも存在し、このシンボルには特別かつ重要な意味が与えられている。キリスト教では三位一体、仏教ではトリラトナ、つまり仏、仏の教え、そして仏の協同体を意味する。

 

ニコライ・リョーリフは、以下の言葉を残した。:

 

「チンターマニ、世界の幸福に関するインドの最も古い考えには、このシンボルが含まれており、中国の『天壇』にも同じ印が含まれております。

メムリングの有名な絵画では、同じシンボルがイエスキリストの胸にはっきりと確認できます。ストラスブールのマドンナ(注1)の姿にも現れています。十字軍の盾とテンプル騎士団の紋章にも同じ印が存在し、グルダという有名なコーカサスの刃も同じシンボルを持っています。

これらの同じシンボルを同じ哲学的なシンボルとして見ることが出来るのでしょうか?

これはゲセル・ハーンやリグデンジャポのイメージや、タメルレーンのタンガ(印鑑)にも存在し、ローマ法王の紋章にも含まれています。また、古いスペインの絵画やティツィアーノの絵画にも見られ、バー街の聖ニコラスの古い聖画像や聖セルギイの古いイメージにも同じような記号が含まれています。サマルカンドの紋章やエチオピアとコプトの古物にもこの印が存在します。モンゴルの岩の上にも存在し、チベットの指輪にも含まれています。ヒマラヤ峠を越える『幸せを運ぶ馬』は、同じような印を光り輝く炎で包み込んでいます。

それは、ラホール、ラダック、およびヒマラヤのすべての高地に住む人々の胸のフィブラ(ブローチ)にも存在し、また仏教の旗にも描かれています。新石器時代の奥深くに進むと、陶器の装飾品にも同じシンボルが確認できます。」

 

ニコライ・リョーリフの「チンターマニ」という絵画は、最も重要な象徴を描いた作品である。これはヒマラヤの伝説を反映しているだけではなく、精神の高みから新しい宇宙進化のページを捲る時の到来を示し、人類に素敵な精神叡智の宝を送り届けることを意味する。

 

「彼の国」シリーズの「世界の宝ーチンターマニ」(1924年)の絵画の最初のバージョンでは、馬が鞍の中にある小箱を運び、そこから光り輝く炎が放たれている。

 

※注釈1:『ストラスブールのマドンナ』は、ストラスブールの大聖堂のマドンナの有名な像。

 

 

 

 

ロシア語からの翻訳者:

オレクサンドル・チスチャコフ

翻訳補助:

加藤 はる花

 

2021-22年

 
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